明治44年の出版の『漢訳不如帰』は、和文漢訳の傑作のひとつです。その特徴は、近代小説の漢訳である点にあります。
原作の『不如帰』は、地の文は易しい文語文ですが、会話文は当時の口語をそのまま写しており、九州弁や関西弁も登場しています。
人物の描写も活き活きとしており、今読んでも、「こんな人、周りにいる」と思わせられます。
そして、当時の婦人の運命・・・浪子の非業の死。
原作の非常にドラマティックな展開を、漢文に訳した訳者・杉原夷山の手腕も、なかなかなものです。
※この作品は、徳富蘆花の『不如帰』の全訳であり、非常に長いので、長期間にわたり、すこしずつ連載する予定です。
※原作は、民友社原版(三版 明治33年4月刊)に拠りました。漢訳は、千代田書房(明治44年4月)刊。英訳は、誠文堂(大正6年9月)刊に拠っています。
※原作のかなづかいは、当時の慣行によるものであり、いわゆる「歴史的かなづかい」には一致しない部分が多く見られますが、原作のまま改めていません。
※訓読は、できるかぎり原漢訳書の訓点・送りがな・読みがな等にもとづき、訳者の意図した訓読を再現することに努めました。
2009年9月6日公開。2009年10月12日追加。