本の内容:
私はこの本を「漢文解釈辞典」としてよりは、むしろ「漢文訓読辞典」として使用しています。
漢文を訓読するとき、句読点・返り点などの訓点や、送り仮名などが丁寧に書き込まれているテキストを訓読するのは比較的容易ですが、古い版本では、送り仮名はないものが多く、またさらに、返り点が無く句読点だけしか打っていないようなテキストも珍しくありません。(なかには句読点さえない白文という場合もありますが、国内の版本では少ない。)これら、訓点のないテキストをどう訓読するか。身勝手な「百姓訓み」になってしまっては困ります。そんなときに、この本が助けになります。
たとえば、「将」という字を、どう訓読したらよいか迷ったとします。巻末の索引で「ショウ」を探すと「将」は、64~67・200とあります。64ページを開けると、「まさに・・・せんとす」と読む例が7例あり、更に「ひきいて」、「もちて」と読む場合があることも分かります。200ページは「はた」と読む例が4例引用され、この場合は文末に「乎」などの疑問詞を伴うと解説されています。これを読めば、おかしな訓読をしてしまうことはありません。
本書は文法書とはいえません。語法についての解説しかなく、文法書に欠かせない品詞論や構文論が欠落しているからです。しかし、訓読の仕方を調べるための工具書としては、傑出した書物です。
本書は、数多くの例文を集めているのが特長ですが、例文の多くが『日本外史』や『近古史談』など、有名な日本漢文から採られています。中国古典から採られた例文も、『漢文名作選』に出ているような、おなじみのものばかりです。
本書は、漢文を訓読法で読もうとされる方には、必備の工具書です。ぜひ一冊を備えてください。
2003年7月20日公開。