本の内容:
漢文学者総覧 (1979年)
本書は、わが国の漢学者4927名を一覧にした小型のハンドブックです。この人数は類書中では最多です。一学者についての記述はたった一行に圧縮されています。その一行に記述されるのは、(1)姓・号、(2)名、(3)通称、(4)字、(5)号、(6)生地、(7)歿年、(8)享年、(9)師名、(10)備考、の十項目です。
例として佐藤一斎についての記述を挙げますと、次のようになっています。(項番は私が附したもので原本にはありません。本書には付録として項目名を印刷した栞がついており、これを各行の横にあてて使うようになっています。)
(1)佐藤 一斎、(2)信行-坦、(3)幾久蔵-捨蔵、(4)大道、(5)一斎・愛日楼・老吾軒・百之寮・風自寮雲韶、(6)江戸、(7)安政6、(8)88、(9)中井竹山・皆川淇園等、(10)文永次男・岩村侯儒・幕府儒官
もちろんこれだけでは情報としては不充分なので、さらに調べてみることになるのですが、見たことのない学者名が出てきたとき、まず本書を開くと、上記のような概要を一目で知ることができるのです。
同じように画一的な形式で漢学者を列挙した本としては、『漢学者伝記及著述集覧』(小川貫道編、原版は昭和10年、関書院刊。東出版の復刻版がある。)がありますが、こちらに収めるのは約1300名なので、本書は著作一覧こそないものの、4倍ちかくの人名を集めてあるわけです。
しかし、本書は江戸時代が中心で、明治以降となると、残念ながら名前の載っていない人が多い。たとえば、明治時代に活躍した山本梅崖や四屋穂峰らの名を逸しているのは、明らかに不備です。漢学が衰退したため、明治以降の漢学者は、伝記はおろか雅号や生没年さえわからなくなった人達が多すぎます。明治以降の漢学者の総覧を作ることも必要だと思います。できれば、国家や大学の事業として作っていただきたいものです。
漢文学者総覧 (1979年)
2003年7月20日公開。